東京大学大学院 医学系研究科生物統計情報学講座

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生物統計情報学講座 特任准教授
平川 晃弘

生物統計情報学講座 特任准教授

平川 晃弘

研究領域1:がんプレシジョン・メディシンのための臨床試験デザインと統計解析法の研究

がんプレシジョン・メディシンの確立に向けて、医薬品の臨床開発の方法も転換期を迎えています。単一又は複数のがん種において、いくつかの分子マーカーとその標的治療の組み合わせを評価する複数のサブ試験を共通のプロトコルで実施する臨床試験が増加しています。このようなプロトコルは「マスタープロトコル」と呼ばれ、次世代の臨床試験デザインとして注目されています(平川ら,2019)。バスケット型臨床試験のベイズ流デザイン(平川ら,2019)をはじめ、革新的臨床試験デザインについて研究開発を行っております。また、国立がん研究センター中央病院が主導している、希少がんの研究開発及びゲノム医療を推進するための産学共同プロジェクト(MASTERKEY PROJECT)にも参画しています。

研究領域2:小規模臨床試験のためのアダプティブデザイン・ベイズ流アプローチの適正利用のための基本的考え方の策定
(AMED医薬品・医療機器・再生医療等製品等に係るレギュラトリーサイエンスに関する研究)

2019年7月より、医薬品・医療機器・再生医療等製品等に係るレギュラトリーサイエンスに関する研究に従事しています(https://www.amed.go.jp/koubo/06/02/0602C_00007.html)。医薬品の条件付早期承認制度や再生医療等製品の条件・期限付き早期承認制度においては、希少疾患領域においては小規模試験から高い臨床的有用性を示唆する結果が得られているかを一定の統計的精度で評価する必要があり、アダプティブデザインやベイズ流アプローチが有用な場合があります。本研究においては、アダプティブデザインやベイズ流アプローチの適正利用のための基本的考え方を策定します。(研究代表者 平川晃弘)

研究領域3:AMED認知症対策官民イノベーション実証基盤整備事業

2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると予測され、2015年に政府は「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)を策定しました。AMED認知症対策官民イノベーション実証基盤整備事業(https://www.amed.go.jp/koubo/01/04/0104C_00017.html)では、認知症の早期発見・予防・ケアに資する官民協同の研究に取り組んでいます。2019年6月より、当該事業の包括的データセンターを構築し、研究データの品質管理及びデータの二次利用に向けた体制整備を進めています(研究代表者 平川晃弘)。また、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターとも連携して研究開発を進めています。

研究領域4:医療・健康データサイエンスの推進

医療・健康データサイエンスは、生物統計学分野の新たな発展領域のひとつであると言えます。「仮説と検証(Hypothesis and Testing)」だけなく、「新たな知の発見(Signal Finding)」にも生物統計学の考え方や手法は大いに利用できます。第1回日本オープンイノベーション大賞(内閣総理大臣賞)を受賞した弘前COIプロジェクト(https://coi.hirosaki-u.ac.jp/web/index.html)で収集された2000項目の医療・健康ビッグデータ解析をとおして、軽度認知障害(MCI)の早期発見アルゴリズムの開発等、社会実装に資する研究に取り組んでいます。

  • 2006.04 – 2011.03(独)医薬品医療機器総合機構 新薬審査第一部・第五部 審査専門員
  • 2011.03東京理科大学大学院工学研究科経営工学専攻 博士課程修了 博士(工学)
  • 2011.04 – 2012.03東京理科大学工学部経営工学科 助教
  • 2012.04 – 2017.03名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センター 講師(統計解析室 室長)
  • 2017.04東京大学大学院医学系研究科 生物統計情報学講座 特任准教授
Book / Book chapter / Translation

Selected Papers
  1. Hirakawa A. An adaptive dose-finding approach for correlated bivariate binary and continuous outcomes in phase I oncology trials. Statistics in Medicine, 2012; 31: 516-532.
  2. Hirakawa A, Hamada C, Matsui S. A dose-finding approach based on shrunken predictive probability for combinations of two agents in phase I trials. Statistics in Medicine, 2013; 32: 4515-4525.
  3. Hirakawa A, Wages NA, Sato H, Matsui S. A comparative study of adaptive dose-finding designs for phase I oncology trials of combination therapies. Statistics in Medicine, 2015; 34: 3194-3213.
  4. Sato H, Hirakawa A (equal contribution), Hamada C. An adaptive dose-finding method using a change-point model for molecularly targeted agents in phase I trials. Statistics in Medicine, 2016; 35:4093-4109.
  5. Hirakawa A,Yonemori K, Kinoshita F, Kobayashi Y, Okuma H. Kawachi A, Tamura K, Fujiwara Y, Rubinstein L, Harris PJ, Takebe N. Potential utility of a longitudinal relative dose intensity of molecularly targeted agents in phase 1 dose-finding trial. Cancer Science, 2018 ;109:207-214.
  6. Kakurai Y, Kaneko S, Hamada C, Hirakawa A (corresponding author),Dose individualization and variable selection using Bayesian Lasso in early phase dose-finding trials. Applied Statistics. 2019; 68:445-460.
  7. Hirakawa A, Sudo K, Yonemori K, Sadachi R, Kinoshita F, Kobayashi Y, Okuma SH, Kawachi A, Tamura K, Fujiwara Y, Rubinstein L, Takebe N. A comparative study of longitudinal toxicities of cytotoxic drugs, molecularly targeted agents, immunomodulatory drugs, and cancer vaccines. Clinical Pharmacology & Therapeutics. 2019; DOI: 10.1002/pros.23818.

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